習い事をさせることだけが教育じゃない
配偶者の転勤先についていくため、仕事を辞めて専業主婦になりました。それまで子どもは保育園に預けて働いていましたが、転居先では子供を幼稚園に通わせることになりました。そこで初めて出逢った幼稚園ママ友達との会話の始まりは、十中八九「子どもにどんな習い事させてる?それいい?」でした。保育園のママ友達との間ではまず出てこない話題です。私も専業主婦になって時間ができたので、子供には一通りの習い事をさせました。水泳、サッカー、英語など。そして、その習い事先で知り合ったママ友達との会話でもまず間違いなく「ほかにどんな習い事しているの?それいい?」と質問されました。今から思うと、まるで競い合うように就学前の子供に一通りの習い事をさせているようでした。
でも今になって思います。習い事ってどれだけの意味があったんだろうと。そろそろ子どもが中学生になろうかという時期になってみると、闇雲に習い事をさせて何か技術を身につけることよりも、社会を渡り歩いていけるような心の強さを身につけることに注力した方がよかったのではないかと思うのです。自信、強さ、負けない気持ち、そしてその強い心に裏打ちされて出てくる他者への優しさ。そういったものを身につけることの方がよっぽど重要だったと思うのです。一通りの成功と失敗を小さい頃に経験して、無力感を感じたり、自分の限りない可能性を感じてみたり。そして、辛いときに、その辛い経験を忘れられるような気持ちの整理の仕方を身につけたり。たまには無茶な大人の無茶な要求に苦しめられて、そしてそれをスルーできるようなしたたかさを身につけることもとても重要だと思うのです。
だから、若いママ達には、まるでオンラインショッピングをするようにただ子どもに色々な習い事をさせるのではなく、その習い事を通じて子どもにどんな心の成長があるのかということに、もう少し注意を払ってもらいたいと思うのです。私自身の失敗の経験から、本当にそう思います。特に幼児期の教育は、単に習い事をさせて〇〇が出来るようにさせる、のではなく、健全な心を育むことの方が大切なのではないでしょうか。